保険か自費か、それが問題だ・・・ほんと?

整骨院逮捕のニュースがここ何年か定期的に起きています。

そのたびに俎上に上がるのが、

整骨院の保険の使い方がおかしい

こっちは真面目にやっているのに

全部自費にすればいい

的な議論です。

この辺のことをずっと考えてきたのですが、どれも正しいような、芯を食ってないような、そんな気がしています。

今日はそのあたりを整理してみたいと思います。

整骨院側のよくある勘違い

整骨院の業務範囲と、やっていいことはある程度リンクします。

結構な勘違いであるのは、

・整骨院は保険の症状しか扱ってはいけない

・自費であれば自由診療だ!だから何やっても良い

・やりたいことがあるなら自費専門にすべきだ

という論旨はやや間違っていると思います。

現行の整骨院の業務範囲と、それ以外を図にしてみました。どん!

全体のエリアの中の一部分が健康保険のエリアであって、そのほかの活動も基本的には柔道整復師の業務範囲内での活動になります。

この理解が割とすれ違っている要因かと思います。

こう解釈してる人も多い

案外多いのがこれ

トレーナーは良いけど整体はダメ、エコーは診断に突っ込んでいるけどケガを見る為という謎の理由でオッケーと解釈している人が見受けられます。

あくまで業務範囲の中に含むかどうかが議題です。

日本柔道整復師会のサイトより引用いたしますと、

柔道整復師とは

昔から「ほねつぎ」「接骨師」として広く知られ、現在は高校卒業後、厚生労働省の許可した専門の養成施設(三年間以上修学)か文部科学省の指定した四年制大学で解剖学、生理学、運動学、病理学、衛生学、公衆衛生学などの基礎系科目と柔道整復理論、柔道整復実技、関係法規、外科学、リハビリテーション学などの臨床系専門科目を履修します。
国家試験を受け、合格すると厚生労働大臣免許の柔道整復師となります。
資格取得後は、臨床研修を行い、「接骨院」や「整骨院」という施術所を開業できます。また、勤務柔道整復師として病院や接骨院などで働くこともできます。

柔道整復師(国家資格)≠ 整体師、カイロプラクティック師(民間資格)
柔道整復師(国家資格)≠ あん摩・マッサージ・指圧師(国家資格)

柔道整復師の業務

接骨院や整骨院では、柔道整復師によって、骨・関節・筋・腱・靭帯などに加わる急性、亜急性の原因によって発生する骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などの損傷に対し、手術をしない「非観血的療法」によって、整復・固定などを行い、人間の持つ治癒能力を最大限に発揮させる治療を行っています。

保険の適用範囲

接骨院や整骨院での施術には、健康保険や生活保護法による医療扶助、労災保険や自賠責保険が適用されます。
これらの保険が適用される範囲は、前述した急性又は亜急性が原因の外傷に対する治療です。医師の同意が必要なのは「骨折」「脱臼」の応急手当を除く治療を施すときだけです。 打撲、捻挫、挫傷などは医師の同意は必要ありません。
慢性的な肩こりや内科疾患が起因の腰痛などに対する施術は健康保険の対象外となります。 また、仕事中や通勤途中のケガは労災保険適用です。交通事故によるケガは自賠責保険の適用となります。
詳しくは、接骨院・整骨院の柔道整復師にお尋ねください。

ちょっとわかりにくいですが、業務範囲の定義として、骨、関節、筋、腱(いわゆるスジ)、靭帯に何かの負荷が加わって発生したものに対して施術を行うのが柔道整復師と考えてよいと思います。

保険以外の者に対する認識の違い問題

もし仮に、ケガだけが柔道整復師、整骨院の仕事だとしましょう。

そうなるとトレーナー活動って、ケガの処置もするけど、ケガする前にもやってるよな?という疑問が頭をもたげてきます。

ケガしてない人に整体するのは整骨院の仕事じゃない!けしからん!とおっしゃる方は、自動的に、ケガをしていない方のサポート、トレーナー活動が出来なくなってしまいます。

「先生、セルフケア教えてください!」

ケガしてないと教えちゃいけないからごめんね!」

って、なんか変ですね。

※ここからは個人の解釈を含みます。

医学には、治療のほかに、予防という観点があります。

wikipedia先生から引用しますね。

予防医学では予防を3段階に分けて考える。

一次予防:疾病の発生を未然に防ぐ行為。健康増進と特異的予防に分かれる。健康増進には生活習慣の改善(生活環境改善、適切な食生活、運動・活動の励行、適正飲酒、禁煙、ストレス解消、、介護予防など)、特異的予防には予防接種、事故防止、職業病対策、公害防止対策などがある。

二次予防:重症化すると治療が困難または大きなコストのかかる疾患を早期に発見・処置する行為。早期発見と早期治療に分かれる。早期発見には健康診断(スクリーニング)、人間ドック、早期治療には臨床的治療がこれにあたる。

三次予防:重症化した疾患から社会復帰するための行為。機能低下防止、治療リハビリテーションがこれに含まれる。具体的には適切な治療、傷病進行阻止、理学療法作業療法機能回復訓練言語聴覚療法視能訓練、介護予防、職業訓練、適正配置などがあげられる。これは一般的な「予防」の認識とは一致しない概念である。

予防の概念の中に、健康増進という概念があります。

その中での筋肉、関節、骨の部分は、私たち柔道整復師の分野と考えています。

トレーナー活動をしている人が、「ケガ以外の活動をしている!違法だ!」と言われないのはこの概念もあるからだと考えます。

運動という部分の補助で考えると、整体、矯正もそこに入ってきます。

運動をしたい→体の問題でうまくいかない→そこを手伝う

実はトレーナー活動と整体系は共通項が多かったりします。

美容、エステはどうでしょうか?

業種一覧ではそもそも他業種です。

超強引に考えると、結果美容に良い・・・はやはり無理筋かなと思われます。

診断はしの字もないのでダメ、病気も当然ダメ。

ということが整理できてくれば、個々の認識違いも埋まる気がしますが、どうでしょう?

一応まとめると

筋肉、関節系は保険、自費にかかわらずOK

診断はどんな理屈つけてもダメ

美容系は他業種につきダメ

自費整骨院はどうなる?

基本は一緒です。

施術の中に、健康保険の症状を含んでいる場合といない場合があると思います。

どっちみち、この範囲内のことをやるのが、整骨院での自費施術、という事になります。

保健所見解としても、

保険か自費かはあまり重要視しておらず、柔道整復の内容かそうでないかという趣旨のコメントをいただいています。

要は整骨院で行うべき施術かどうか

であって、保険も自費も当然あるよねって話です(2018年夏までの話です。以降の変更は責任持ちません)。

問題は、自費の整骨院に健康保険の適用範囲にいて、健康保険の施術を希望される方が来た場合です。

うちは自費だから保険は使えません

これは正しくありません。

健康保険の中の、受領委任払い制度が使えないだけで、健康保険自体は使用可能です。

そう、本来の使い方。

10割負担をして、審査が通れば一部帰ってくる償還払い制度です。

手続きを整骨院がする必要はありませんが、ケガの場合はケガと伝えておいて、患者さんが自分で保険組合に請求することは可能です。

ただ、何でもかんでも請求はできないので、それを整骨院側が見極めて、一言伝えて差し上げるのが親切かと思います。

もともとのケガに対する取り扱いがわかっていれば、そこで困惑することもないはずです。

え?保険の内容なんて自費だからどうでもいいですって?

だめですよ。

整骨院である以上、このルールは入ってきますよ。

整骨院、接骨院が選べるのは、

受領委任払い制度を使用するかしないかだけ

です。

別に、来た患者さんすべてに保険の話をする必要がありませんが、健康保険を希望される方には、

・適用症状かどうか

・適用部位(出来たら)

・一部請求したら償還されるかもしれない旨を伝える

という事は必要になります。

で、カルテには傷病部位はしっかり残しておきます。

別段整骨院側で請求業務は行わないので、やるかやらないかは患者さん次第です。

あ、ちなみに、健康保険が適用になる場合でも、それは支給基準の額のエリアだけなので、

自費施術の総額から7割引かれるわけではありませんから、その説明したらダメですよ

例えば・・・

5000円の施術をして、健康保険の支給基準に合わせると、1210円が健康保険の額だとします。

1210円から償還される(審査通れば)って形ですのでお間違えなきよう。

労災、交通事故の話まで入れるとややこしくなるので今日はこの辺で。

まとめ

自費=自由ではない

自費だからって保険のエリアを知らないのはやばい

自費こそ保険の内容知ってる必要ありあり

投稿者プロフィール

院長
院長けやきの森整骨院 代表
けやきの森整骨院院長。
柔道整復師歴10年ちょい(国家資格)
身体に役立つ情報と、整骨院の本来のルールを発信し、間違った利用(肩こりで健康保険など)をなくし、筋肉、骨の専門家として整骨院が信頼されるよう取り組んでいる。
2017年ズボン3本破壊、チャック一回破壊(不可抗力)。
元読書家で歴史小説に目がない人。
少年・青年漫画限定で意味不明に詳しい。
同名の整骨院の活動には関与していません